まだまだ寒い日が続くなあと思っていましたが、気がつくともう３月も半ばです。花の便りがそろそろ届き始める季節になりました。季節の変わり目はいつも不意にやって来ます。これを書いている今は県立高校入試の直前で、塾に来ている中３生は皆せいいっぱいがんばっています。中にはがんばりすぎて体調を崩している子もちらほら見受けられます。受験生には、本当に直前のこの時期、もう勉強をがんばるというよりも、本番に備えて体調を整えることを第一に考えてほしいと切に思います。

この通信が皆さんのお手元に届く時には、入試も終わっています。塾に来てくれている子どもたち（本当に本当にありがとう）はもちろん、すべての子どもたちの健闘をたたえ、また長い間の苦労をねぎらってあげたいと思います。毎年思いますが、受験は子どもたちにとっては過酷な経験です。そしてそれは子どもたちの親御さんにとっても同様です。子どもたちだけでなく、親御さんの物心両面でのご苦労もまたねぎらってあげたいと思います。

また１年、受験を目の前にした多くの子どもたちを見てきましたが、子どもは実にいろいろです。早いうちから志望校を決めて着々と勉強を積み上げていく子もいれば、なかなか志望校が決まらない子、本当にぎりぎりまで受験校が決まらない子もいます。

概して受験勉強というものは、目標を早く決めることができればできるほど、うまくいくように思います。その理由は、１つには、いったん目標を決めてしまうともうやるべきことから逃げられなくなって、どうすれば成功するかを四六時中真剣に考えるようになるからだと思っています。

目標は途中で変わっていってもよいのですが、何１つ具体的な目標がないままでは、知恵も十分に働かないし、途中途中の成果（模試や実力テストの結果など）を真摯に受け止めて必要な軌道修正を施していくということもないままになってしまうだろうと思います。ですから、これから受験を目の前にする子どもたちには、今の時点で考えられる範囲でいいので、志望校をぜひとも早めに決めておいてほしいと思います。

いや自分はとにかく成績が悪いから、まだまだ志望校なんて決める段階ではないだとか、親御さんであれば、我が子はまだまだそんなことを決められるレベルではないだとか、そういうふうに思って結論を先延ばしにしないでいただきたいと思います。志望校＝目標は後になって変わってもまったく問題はありません。とにかく今の時点で考えられる範囲の結論を出しておくことが大切です。後々のことはそれに影響されます。

子どもたちを見ていてもう１つ痛感するのは、自信のあるなしがかなり受験勉強の成否を決めているということです。同じ教材を使って同じ内容に同じやり方で取り組んでいても子どもによって成果が非常に違ったものになるのはたいへんよくあることです。私たち大人はそれを、子どもは１人１人性格が違うためであるとか、基礎学力の付き方に個人差があるためであるとか、いろいろな理由と結びつけて考えますが、それには自信のあるなしも大きく影響しているように思います。

自信は成果を出すから生まれるものでしょうか？ それとも自信があるから成果が出るのでしょうか？ 答えははっきりしていると私は思います。自信があるからがんばれるし、だからこそ成果が出るのです。勉強で成果を出すためには詰めが大事というか最後の最後の粘りが大事ですが（自分は本当に分かったのか？ それともそうではないのか？）、その粘りを支えてくれるものが他ならぬ自信です。その粘りが足りていないから、同じことをやっていても成果が出ないのだと私は思います。

自信は成果を出して生まれることはあっても、それは微々たるものだと思います。ではどうすれば子どもは自信を持てるのか？

自信は周囲の人に認めてもらうことによって生まれるものだと思います。周囲の人、つまりまず親御さんであり家族であり、仲のいい友達であり、学校の先生であり、そしてその子が塾に通っていれば塾の先生もそうです。これらの人々の責任はあまりにも重大です。いや成果を出すから認めることができるのだ、何も成果が出ていないのに認めることなどできないというのは、言うまでもなくこの経済社会の厳しい現実そのものですが、こと子育てに関しては、こうした現実に依拠していてはすべてを間違えてしまいます。繰り返しますが、子どもはとにかく認められなければなりません。そうでなければ、がんばる力はどこからも出て来ようがありません。

まずはそこから。自信がつけば、後のことは放っておいても勝手に動き出します。子どもを信じることです。私たちが肝に銘じておかなければならないことの第一だと思います。

アルファ進学スクール水橋校　涌井　秀人