教室ニュース 水橋校ニュース教室長のきまぐれ日記ー散歩の効用ー

教室長のきまぐれ日記ー散歩の効用ー

教室長のきまぐれ日記ー散歩の効用ー
最近朝起きがけに歩くようになりました。私もいよいよ体には日頃から気を配らなければならない歳になってきたと自覚しています。歩くのがいいとよく耳にしていたので、思い切って実行しました。三日坊主の自分に果たして続けられるのだろうかと最初は自分の決意に半信半疑でした。でも気がつけばもう1カ月近くは続いています。やはり自分の体を気にしているからかなとも思いますし、朝の(と言っても早朝ではありません)まだきれいな空気を吸って、明るい日差しの中をゆったりと歩くのは、何といっても気持ちいいものです。家の周囲の環境から、交通量の多い道路も少し歩かなければなりませんが、それでもちょっと脇にそれると車の通らない、桜の大木が並んでちょうどいい感じに日陰を作ってくれている遊歩道があったりして、小鳥のさえずりを聞いたり周りの景色を見たりしながら小1時間ほど歩くのが、最近のちょっとした楽しみになっています。
これまでずっと、ちょっとした近所へ行くのにも車を使う生活を続けてきました。環境にも自分の体にもちっともエコじゃない生活ということもありますが、歩き始めて今さらながら知ったのは、車で走っている時には決して見えない、感じることのできないものを、歩くことによってじっくりていねいに見たり感じたりできるということです。道に落ちている枯葉や小枝の切れ端を靴で踏んだ時のカサっとかポキっという音でさえ何だかちょっと新鮮に感じてしまうというのは、自分もそれだけ歳をとったということなのかなあと考えてしまったりもします。でもこれまで長い間見過ごしてきたものを今発見できているかのような感覚というのは、自然が与えてくれた思わぬ贈り物のように思います。
だから何?と言われても答えに窮します。ただこういうことは、日頃何かと言えば仕事の目標だの人生の目標だの、効率的な方法だの目に見える成果だのといった諸々に気を取られがちな私たちに、物事は普段見慣れているのとはまた違ったふうにも見ることができるのだよ、とそっと教えてくれているようでもあり、なかなかに意味深いことのように私には思えます。ちょっと立ち位置を変えてみるだけで物事はまったく違ったふうに見えてくるというのは、これはいろいろと悩ましいこと厄介なことの多い人生を何とか前向きな気持ちで進んでいけるためにとても大切なことではないかと思います。
仕事にしろ勉強にしろ人間関係にしろ、出口のない迷路に迷い込んでしまったかのように感じられる時があるものですが、そういう時にちょっといつもと違う立ち位置に立って自分の周りを眺めてみると、それまではまったく気がつかなかったことや新たに前に進むためのヒントのようなものが見えてくることが少なからずあります。
急に話は変わりますが、私は勉強することは基本的に好きなほうだと思います(塾に来ている子どもたちにそれを話すと一様に、え?信じられない!という反応です)。何か期限までに提出しなければならないものがあるとか、成績を気にしなければならないとか、何かに役立てなければならないとか、他人に後れを取るのがいやだとかいった、勉強そのものとはあまり関係がなさそうな諸々のことさえ気にしなければ、この世の中に勉強ほど純粋に楽しいことはないのではないかと思ったりもします。
そういう、勉強以外のことを気にしなくてもいい状況で勉強している時というのは、完全に自分のペースで、自分の素直な心の赴くままに、何かを考えたり理解しようとしたりしているようです。また、塾で小学生を見ていると、彼/彼女らはいろいろなことに気を取られて、必ずしもいつもいつも勉強のみに集中できるわけではなかったりしますが、これは大人も同じことではないかと思います。大人でも特に縛りもなく好きな勉強をしている時は、ちょっと窓の外を眺めてみたり、背中を伸ばしてみたり、時には椅子から立って部屋の中を特に意味もなくうろうろしてみたり、といったことをかなり頻繁に繰り返すと思います。そういう、誰かの目を気にする必要もなく完全に自分ひとりのペースでやっている時ほど、勉強から結果的にいろいろ実り多いものが得られることはないのではないかと思います。
そういう時の勉強というのは、普段車で目的地から目的地へそそくさと移動している時には決して気づきようもない多くのことに、気ままな散歩をすることによって気づくことがあるように、気ままな散歩にも近い散漫な取り組みの中で、多くの予期せぬ豊かなものを与えてくれるのだと思います。
子どもに対して大人は目に見える成果を求めがちですし、実際それを強く求めなければならないことも確かですが、勉強はそういうことだけじゃないということも、大人はしっかり子どもに伝えてあげる必要があるのではないかと思っています。
アルファ進学スクール水橋校 涌井 秀人